毒舌社長は甘い秘密を隠す
「うな重ですか」
「気分だったからな。精を付けて頑張るためだ」
「いつものと仰ってましたけど、そんなに頻繁に召し上がっているんですか?」
「多くて、週一」
特選うな重なんて、余程のお祝いごとでもない限り食べないのに、彼にとっては日常的なもののようだ。
注文を終えた彼は、長い脚を組んでソファの背に寄りかかり、頭を後ろに倒している。移動もあったし疲れているのだろう。
仕事ついでに旅行をしていたとはいえ、結局仕事のことばかり考えている彼の疲労は、私の想像を超えていそうだ。またこの前みたいに倒れないように、私が支えなくちゃ。
「明日からはできるだけ私がお食事を用意しますね」
「そんな家政婦みたいなことはするな」
あれ? 最初は社長の身の回りの世話をするようなイメージだったはず。だから、そのつもりでいたしエプロンだって持ってきたのにな。
「私をここに置いたのは、社長の健康管理のためでもあるはずです」
「……そこまで言うなら、君がそうしたい時だけ作ればいい」
「はい、わかりました」
まぁいいか。気まぐれで言ったのかもしれないし、いずれにしても私がここで暮らすことには変わりない。