毒舌社長は甘い秘密を隠す

「ところで、九条さんの話は聞いた?」
「話と申しますと、どの件でしょうか」
「物件を探している理由のことだ」

 やっぱり、九条さんは彼に直接話したようだ。おそらく先日食事で出かけた夜にでも知ったのだろう。
 先に私が言わないでおいて正解だったと安心しつつ、彼に頷いて答える。


「もちろんです。九条さんは一生懸命にお部屋を見ていらっしゃいましたし、いずれ九条さん側からご報告する機会をと申し出がありましたら、こちらでも調整したく思います」

 私がそこまで話すと、彼は黙り込んでなにかを考えている様子だ。


「……そうか」
「社長?」

 なにかを理解した様子の彼に問いかけるも、完全に無視された。
 彼はおもむろに立ち上がってキッチンに向かい、缶ビールをグラスに注いだ。そして、夜景に変わった眺望を眺めて、ぼんやりとしている。

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