毒舌社長は甘い秘密を隠す

「昼間行ったイタリアンは、九条さんと?」
「はい。とても素敵なお店でした」

 できれば、社長と一緒に行ってみたいなぁ。でも、九条さんにも話した通り、ふたりで出かけるようなことはない。あくまでも社長と秘書でしかないのだから。


「どんな店だったんだ?」
「場所は白金高輪で、外観は白亜の洋館のようでした。二階建てで、てっきり一階席に通されると思っていたんですけど、九条さんがいつもそうされているのか二階の特別席でご馳走になりました」
「そうか。あの店に行ったのか」
「社長もご存じなんですか?」

 問いかけると、彼は「あぁ」と短く答えるだけ。
 誰と行ったんだろう。九条さんと行った時は、家族連れや恋人同士でにぎわっていたから、もしかしたら素敵な女性と食事をしたのかなぁ。
 そういえば、前に社長室で女性と『会いたい』とかなんとか話していたし……。

 でも、留美さんによれば彼女はいないはず。
 社長と暮らすのはチャンスかもしれない。少しは意識してもらえるように頑張ってみようかなぁ。

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