毒舌社長は甘い秘密を隠す
リビングに戻ると、ダイニングテーブルに綺麗な漆塗りの重箱があった。
「飲み物出して」
「社長はなにを飲まれるんですか?」
「俺はビール」
「では、私もいただきます」
飲まずにやっていられない。
想いに気づかれることなく、一方的にキスまでされて、さらに下着を見られてしまうなんて。初日がこれでは、先が思いやられる。
冷蔵庫からよく冷えたビールを二缶取って、近くにある食器棚から出したグラスに注いだ。
「出張、お疲れ様でした」
グラスをそっと合わせて乾杯をする。
ダイニングテーブルに向かい合って座り、お重の蓋を取ったら、艶々でふっくらとした鰻とその香ばしく甘い匂いが漂ってきた。
「やっぱここのは格別だな」
うな重を美味しそうに食べている彼の純粋な微笑みを見たら、怒っていた気持ちが丸くなってしまった。