毒舌社長は甘い秘密を隠す

「どういうって、そのままの意味だ」
「……せめてTシャツを着てください」
「俺はいつもこれで寝てる」
「でも、さすがに今日からは」
「うるさい」

 ギューッと抱きしめられて、息が詰まった。最高潮に緊張して、身動きもとれない。
 苦しくなって呼吸をしたら、彼の匂いがする。嫌味のないさわやかな香りを吸って、ますますドキドキしてしまった。

 目をつぶれば、まぶたの裏に焼きついた彼の身体が浮かんでくる。
 なんとかして消そうとするのに消えてくれない。

 どうして、私を抱きしめるの? アルパくんの代わりだから?
 こんな時に限って、九条さんに言われたことが脳裏をよぎる。


「かわいい」

 不意に呟かれた言葉に、反射的に顔を上げた。
 私が毎日胸をときめかせている彼が、暖かい明かりを背に見つめてくる。


「よく似合ってるよ、ルームウェア」

 かわいいと言われたのは、ルームウェアのことだったのかと気づいた瞬間、彼はわずかに身体を起こし、私の頬にキスをした。


「おやすみ」
「っ……おやすみ、なさい……」

 もう訳が分からない。
 彼の身勝手に振り回されるのは慣れていたけれど、心を掻き乱された上に抱きしめられたままで、私はすぐに寝付けなかった。

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