毒舌社長は甘い秘密を隠す

「なにをしている?」
「社長がおかしいと指摘されたので、服装に変なところがあったかと思いまして」
「そうじゃない」

 ジャケットを脱いでハンガーに掛けると、彼はハイバックチェアにゆったりと座った。


「挨拶なら、今朝もう済ませただろ? ここでまた繰り返すのもな」
「な、なにを仰っているんですか!」

 誰にも聞かれてはいないだろうけど、社内で同居していることを口にされるとハラハラする。
 彼は、慌てている私を見て楽しそうに目元を細めるだけだ。

 そして私の胸の奥は、もれなくその表情にきゅんとしてしまった。


「今日の予定は?」
「はい。今日は経営会議がこのあと十一時から、途中でランチ休憩を挟みまして、午後十四時までとなっております。それから――」

 いつも通り、スケジュールの確認をしてから自席に戻った私は、大きく息をついた。

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