毒舌社長は甘い秘密を隠す

 それからは、自宅から持ってきた小説を読みふけって、お風呂にゆっくりと入った。
 なにか連絡が入っていないかと携帯を見ると、二十二時を回っている。


 時間を持て余してしまった。
 これ以上することが見つからず、リビングのソファから夜景を眺める。だけど、十分も経たないうちにベッドに入った。


「社長、まだかなぁ」

 連絡をしてもいいけれど、もしかしたら実家でゆっくりしてくるのかもしれないと思うと憚られた。
 でも、縁談話を詰めているのだとしたら、すぐに帰ってきてほしい。
 もしそうだとしたら、見合いはしないと断ってきてくれたらいいのに。

 こうして一緒に暮らし始めても、彼と私は社長と秘書で、現実は変わらない。

 彼がいると、ずっとドキドキしちゃうし、ことあるごとに振り回されてばかり。だけど、いないと寂しくてたまらない。
 ひとりで眠るには大きすぎるベッドで、並んでいる枕を眺める。
 彼のたくましい胸板と温もりが鮮明に思い出されて、今すぐ会いたくなった。

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