毒舌社長は甘い秘密を隠す

「寝ないのか?」
「ちょっと喉が渇いたので」
「そう」

 バスタオルで髪を拭きながら出てきた彼は、上半身になにも着ないでいる。
 一度見られたら平気な人なのか、それとも私を女性と思っていないのか……。もう少し意識してほしいんだけどなぁ。


「あの……お見合い、されるんですか?」
「……どうだろうな。君はどう思う?」
「えっ!? どう、と申しますと」
「俺が見合いして、どこぞのお嬢さんと結婚したら、どう思う?」

 社長は本当に意地悪だ。
 そんなことを聞いてどうするつもりなんだろう。
 本音は、結婚なんてしてほしくない。するなら私としてほしい。

 でも、彼は私に興味すらないだろうし、そもそもアルパくんの代わりでここにいるだけだ。
 秘書として日々の仕事を完遂するのが、私の役目。そこに私情を挟むなんて秘書失格だと思う。


「社長が幸せになられるなら、と思いますが」
「……あ、そう」

 聞いてきたのは彼なのに、素っ気ない態度で私からグラスを奪って水を飲み干すと、先に寝室に入ってしまった。

< 173 / 349 >

この作品をシェア

pagetop