毒舌社長は甘い秘密を隠す
テーブルに、注文した食事が並ぶ。
シーフードサラダや熟成赤身肉のひと口ステーキ、ビシソワーズにカルパッチョ。色鮮やかな盛り付けに食欲がそそられる。
私たちは自家製サングリアで乾杯して、少しずつ食べ始めた。
「ところで、井浦社長がお見合いするって本当?」
「ご存じなんですか!?」
「常務が井浦社長のお父様と話しているのを耳にしたのよ」
それなら仕方ないかと思いつつ、常務ももう少し気を配ってくれたらいいのにと、愚痴をサングリアで流す。
「このままでいいの? 見てれば分かるのよ。このところ、沢村さんがますます綺麗になってきたし」
「……そ、そうですか?」
「恋してるんでしょ? 白状なさい。仕事に支障きたすだろうから黙っておくし、相談事があればいつでも聞くわよ」
心強い彼女の言葉に背中を押され、誰にも言えずにいる想いを打ち明けようと思ったけれど、ぐっとこらえた。
これからも社長秘書として仕事をするなら、やっぱり公私混同は明言するべきじゃないと思ったからだ。