毒舌社長は甘い秘密を隠す
銀座まで車を走らせ、百貨店の提携駐車場に車を入れた。
「私の買い物に付き合っていただくのは悪いので、社長もどこか見ていてくださいね」
「いや、君と見て回る」
「でも、女性の買い物に付き合うのは、男性はつまらないって言うじゃないですか」
「楽しもうと思えば楽しめるだろ。その辺の男のことなんて知らん」
ここでも可愛げのない答えを返し、心の中で小さく後悔をする。
その辺の男と同じ扱いなんてされたくなくて、つい棘のある言い方しかできなかったのだ。
俺のプライドなんて、彼女の買い物にはまったく関係ないのに。
ふと隣を歩く彼女を見下ろしたら、視線を泳がせて店内を見て歩いている。
やっぱり、日頃職場で俺にしごかれて耐性がついているのか、多少のことでは動じないようだ。
もうちょっと気にかけてくれたら、彼女の心の内が分かりそうなのになぁ。
俺じゃなくて九条さんだったらって、ことあるごとに比べては落ち込みそうだ。
一緒に暮らすための部屋を先に探していたと未来がある話を引っ提げて告白されたら、きっと女性は弱いだろう。
彼女もそうなのかもしれないと思うと、不甲斐ない自分に無性にイラついてきた。