毒舌社長は甘い秘密を隠す

「社長に買っていただくなんて申し訳ないので、きちんとあとでお返ししますね」
「いいよ。いつも頑張ってるから、プレゼントだ」
「でも、私は秘書として当然のことをしているだけで」
「俺が買ってあげたかったんだから、いいんだよ」

 気まずくて、彼女が座っているスツールに腰かけて黙り込む。


「大切に履きます」
「あぁ」
「社長も、私が買ったアルパカのペンを使ってくださいね」
「……わかったよ」

 ぼそっと答えたら、隣に座る彼女が小さく笑った。


「社長の買い物はいいんですか?」
「俺はいい。別に欲しいものはないし。それより、まだ昼過ぎだしどこかで休憩でもするか?」
「はい」

 館内にも飲食する店はあるけれど、混み合っていてゆっくりできそうにない。
 数日前にネットで見た店に行ってみようと思い付き、百貨店から徒歩圏内の目的地までのんびり散歩がてら向かうことにした。

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