毒舌社長は甘い秘密を隠す
「社長、大丈夫なんですか?」
「なにが?」
「私とふたりで出かけて、本当に誰かに見られたら大変なことになるかと」
「別に、俺は構わないよ。気にしなくていい」
考え事を言い当てられてギクッとしつつ、気に留めていない様子を装った。
やっぱり俺と特別だって思われるのは迷惑なんだろうな。
同居だって強引に持ちこまなかったら叶わなかっただろうし、俺が社長の立場を利用していなかったら、今頃とっくに目黒の自宅に戻っているはず。
「社長は、甘いものがお好きなんですか?」
「あぁ、うん。どちらかと言えば」
素直に答えたら、彼女がハッとして俺を見つめてきた。
「もしかして、私がさっき生クリームが好きって言ったからですか?」
「違うよ。俺の気が向いたから来てるんだ」
今度は素直じゃない俺が出てしまった。
君の喜ぶ顔が見たくて連れてきたと、軽々しく思われたっていいから伝えたいのに言えなかった。