毒舌社長は甘い秘密を隠す

「暇つぶしに付き合わせてしまってすみません」
「だから、いいって言ってるだろ? 君が楽しければそれでいい」

 クールな男ぶって言ってみるけれど、不器用な返事で気持ちに気づかれていないかと気になる。
 さっきから俺を見上げる彼女のいたずらっぽい笑顔に、自分でも驚くほど容易く射抜かれてしまった。


 順番が回ってきて、ようやく店内に入った。

 海外の系列ホテルにあった限定の店舗が上陸したとあって、ホテル内のカフェとは思えないほど大盛況だ。
 この店は生クリームがとても美味しいと評判で、店中が甘い匂いに包まれている。
 バニラやカラメルのような甘い香りに、バターの香ばしい匂い。どれも嫌いではないけれど、少なくともひとりではこの店に来ることはなかったと思う。

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