毒舌社長は甘い秘密を隠す

 案内された席に着くと、彼女が早速メニューを広げた。
 写真つきのそれをテーブルの対面から眺めるけれど、とてもひとりで食べられそうにない。こんもりと乗った生クリームやうず高く巻かれたスペシャルソフトクリームなど、甘党ではない男性の気持ちを全く無視したメニューばかりだ。
 そもそも、甘党でなければここには来ないだろうけど、恋人に連れてこられた男性の都合もあるというのに。
 もちろん今日の俺は、どの愚痴も言える立場にはないが。


「社長はどれにしますか?」
「……君は?」
「私は、苺のショートケーキにするかピスタチオアイスのパフェで悩んでます」
「じゃあ、両方頼め。俺も少しもらうから」

 通りかかった店員を呼びとめ、彼女が迷っていた両方のメニューをオーダーした。
 飲み物を聞かれて、迷うことなくブラックコーヒーを無糖で頼んだ俺を見て、彼女は小さく微笑んでいた。

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