毒舌社長は甘い秘密を隠す
「……お見合いは、どうするんですか?」
脈絡のない問いかけに、ブラックコーヒーを飲もうとしていた手が止まった。
「急になに?」
「スケジューリングしないといけないと思っていたので」
「あぁ……まぁ、相手のあることだから」
父親には返事を保留したまま。
断ると決めているけれど、父親の顔もあるからそれなりに理由がないといけない。そもそも海外の令嬢と上手くやっていけるわけがない。
でも、ちゃんと破談になってから、優羽には報告しないと意味がないだろう。
この際、強引に囲ってる現実は棚に上げておくとして、見合いは断るから付き合ってくれなんて、都合のいい展開はどうかと思う。
「そんなに気にしなくていいからな」
「……はい」
俺が返事を濁したからか、彼女は視線を落としてパフェを食べる手も止め、口を結んでいる。
月末の期限までに、なんとかして縁談を回避しなくてはと考えだし、俺もそれ以上話を掘り下げなかった。
もし、俺が見合いをすると決めたら、彼女はどう思うんだろう。
前に意地悪な問いかけをしたことがあったけれど、『社長が幸せになられるなら、と思いますが』って言われたなぁ。
あれが本心なのだとしたら、この沈黙は一体なんなんだろう。