毒舌社長は甘い秘密を隠す

 夕方になり、ホテルを後にした。百貨店の駐車場に停めていた車を出して、再び乗り込む。

 彼女に買った靴を後部座席に置いたら、「ずっと持っていてくださってありがとうございました」と随分と丁寧にお礼を言われてしまった。
 これが、〝ありがとう〟だけで済むような、対等な関係になれたらいいのに。


「ちょっと寄りたいところを思いついたから、行っていい?」
「もちろんです」

 早速車を走らせたのは、空を支えているような高さのスカイツリー。
 彼女も何度か来たことがあるようで、久しぶりだと話してくれた。
 誰と来たのかなんて聞けるはずもなく、九条さんじゃないといいなぁと密かに心で願った。


 七階まで上がり、チケットカウンターで当日券を買って入る。
 ドアを開けると、すでに少し仄暗かった。


「社長、待ってください」
「どうした?」
「これって、あの」
「プラネタリウムは嫌い?」
「そうじゃなくて」

 予想外だったらしく、瞳をキラキラさせた彼女が俺を隣から見上げている。


「早く座ろう」
「はい!」

 すでに席は埋まりつつあって、自分たちの席を見つけて静かに腰かけた。

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