毒舌社長は甘い秘密を隠す

 途中で離席しても戻ってこれるよう、席番号が記載されているチケットの半券を渡したら、勢いよくなにか言いたげな顔が向けられた。


「なに?」
「私がハワイに行きたいって言ったからですか? 星空を見たいってさっき言ったから……」

 小さな微笑みに答えを忍ばせたら、彼女は瞳を潤ませた。


「ハワイの星空がここで観れるなんて思わなかったです……」
「まだ始まってないのに、もう感動してるのか?」
「社長が優しすぎるからです。私、一生社長についていきます!」
「よろしく頼んだよ」

 その決意は嬉しいけれど、秘書としての想いなのだと思うと少し切ない。
 俺は一生、彼女を隣に置きながら、片想いを続けなければいけないのか……。

 シートをリクライニングにして、天井を仰ぎ見た。

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