毒舌社長は甘い秘密を隠す

「なにを作ってくれるんだ?」
「できるまで秘密です」
「楽しみにしてるよ」

 高層階専用エレベーターの中、お互いに顔を見合わせて、どちらからともなく微笑む。
 仕事中の厳しい彼も尊敬しているし好きだけど、肩の力が抜けている優しく穏やかな彼が大好きだ。
 

 帰宅して、コンシェルジュが買い物を済ませてくれるまでの間、買ってもらった靴を箱から出し、プラネタリウムのパンフレットを眺めることにした。
 赤いソールが印象的な黒のピンヒールと、ヌーディ―カラーでどんな服とも合わせやすい六センチヒールは、両方ともフォルムが綺麗で、履き心地も最高だ。
 玄関の大きなシューズクロークに靴をしまい、ソファで寛いでいる彼の隣に座った。


「社長、今日は本当にありがとうございました。とっても楽しかったし嬉しかったです」
「あぁ」

 ぶっきらぼうな返事だけど、私を見る瞳は穏やかで優しい。

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