毒舌社長は甘い秘密を隠す
すべての料理が出来上がり、ダイニングテーブルに向かい合って座った。
「豪華だな」
「今日のお礼です」
ミートローフもアクアパッツァも美味しいと言って、彼は褒めてくれた。
「また作ってよ。これ、俺好みだ」
「はい」
少し多めに作ったから、余りは明日食べようと思っていたのに、どうやら気に入ってくれたようでほとんど残らなかった。
気に入ったと言ってもらえて、自然と笑みがこぼれる。今日の料理もレパートリーに入れておこう。
やっぱり外食にしなくてよかった。
彼もいつもと変わらない様子で接してくれるから、プラネタリウムのロマンチックなあの時間を引きずらなくて済む。
でも、あの時彼はなにか言おうとしていたような気もして、引っかかったままだ。
「先にシャワー浴びてくる」
「はい」
食事と片付けを済ませて少しすると、彼は洗面室へ行ってしまった。