毒舌社長は甘い秘密を隠す

【お疲れ様。今日は突然申し訳ない。急ぎの要件があれば対応します。それから、九条さんと会ったようなので、内容を教えてください】
【お疲れ様です。お加減はいかがでしょうか? もし必要なものがあれば届けますのでお申し付けください。急ぎの案件は今のところございません――】

 メールを読んで、すぐに返事を打つ。
 九条さんと話した内容は、伝えられる範囲で報告するしかないので、【物件を探す予定があるようです。どんな部屋に住みたいか参考意見を求められたのでお伝えしました】とだけ送った。


 それからは、十五時まで業務を進めた。
 途中で先輩とランチに出た時は、社長が休むなんて珍しいと言われ、余程体調が悪いのではないかと思った。


 必要なものがあれば届けるとは言ったけれど、井浦社長ほどの男性なら、当然恋人くらいはいるだろう。
 日頃忙しくしているからこそ、相手の方もこういう時こそ甘えられたいはず。

 だけど、社長が体調を崩したのは、昨夜アルパくんと添い寝していたせいだなんて、その人は知っているのかなぁ。
 口止めの約束を厳守し、先輩にも昨夜のことは打ち明けなかった。

< 24 / 349 >

この作品をシェア

pagetop