毒舌社長は甘い秘密を隠す
土曜の朝はアラームの電子音に急かされず、ゆっくりと目が覚めた。
毎日見てきた社長の寝姿が隣になくて、ベッドを出る。
どこかに出かけているのかなぁ。今日は仕事を入れていないから、のんびり過ごしてもらえるのに。
「――OK. Please let me know how it goes」(どうなったか、私に知らせてください)
リビングに向かう途中で、書斎のデスクに彼の背中を見つけた。どうやら、海外とやりとりする必要があったようだ。
土曜でも忙しくしている彼には頭が下がる。だけど、そんな社長だからこそ、ついていきたくなると思いを新たにした。
ひとまず、デニムと白いTシャツに着替えてから、ナチュラルメイクで身支度を整えてキッチンに立った。
ふと思い出すのは、昨夜の社長の様子だ。
私が九条さんと会うことを咎めなかった割に、そのあとの言葉と行動が彼らしくなくて……。
「おはよう」
「おはようございます。今日はお仕事ですか?」
「いや、もう用件は済ませた。……いい匂いがするね」
「あと少しでハムとチーズのホットサンドができるので、座って待っていてください」
リビングにやってきた彼は、野菜をガラスのボウルに盛りつけている私の手元を覗き込んだ。