毒舌社長は甘い秘密を隠す
朝起きてからずっと見ていなかった私用の携帯を確認すると、休みなのに留美さんから連絡が入っていた。
【もし時間があるなら、軽く飲みに行かない?】
家にひとりでいたら、鬱々としてしまいそうだ。
社長は私の気持ちに全然気づいてくれないし、九条さんには引き抜きの話を持ちかけられるし……。
留美さんの誘いを受け、夕方頃に銀座のお店で待ち合わせることにした。
それまではのんびり過ごしながらも、考えてしまうのは今後のことばかりで、時が経つのはあっという間だった。
決めたはずの答えを言い淀んでしまうのは、この片想いをいつまでも続ける自信がないからだと気づいて、また悩んでの繰り返しで……。
「留美さん、こんばんは」
十八時に、待ち合わせた店の前でちょうど留美さんと会えた。
「ごめんね、当日に誘っちゃって。都合大丈夫だった?」
「はい」
彼女は休みの日でも変わらない。一緒にいると穏やかな空気に包まれるからか、ホッとさせられる。
カジュアルイタリアンのテーブル席に座って、メニューを広げた。
揃って一杯目にビールを頼み、すぐに運ばれてきたグラスを合わせて乾杯をした。