毒舌社長は甘い秘密を隠す
社長の自宅は、晴海にある四十六階建ツインタワーの超高層マンション。
都心の夜景や東京湾の景色を一望できる立地にあり、井浦リアルエステートが販売している高級物件だ。
オートロックに【4501】と入力して呼びだしても、応答がない。
合鍵なんてものは当然持っているわけがなく、社長に電話を掛けたけれど留守番電話に切り替わってしまった。
五分ほど待って、もう一度オートロックで呼びだす。
「沢村です」
すると、なにも言わずにエントランスのドアが開き、ロビーに入ることができた。
だけど、足を進めるごとにホテルのような洗練された内装に圧倒される。
このクラスの高層マンションともなれば、コンシェルジュが常駐しているとは予想していたけれど、来訪者を管理するために声を掛けられ、名刺を渡す必要があったのは驚きだった。