毒舌社長は甘い秘密を隠す
数秒の間に、彼の表情は鋭さを増していた。
気分を害しているときと変わらない雰囲気に、私はなんて我儘を言ったのかと後悔する。
「俺の気持ちを知ってて、そんなことを聞くのか? お前は俺を弄ぶ気か?」
「えっ!?」
彼の答えに、耳を疑った。
すぐには理解できず、ぼんやりする頭でなんとか解釈しようとするけれど、身に覚えのない〝弄ぶ〟という言葉に、つい首をかしげる。
「一昨日、行くなと言ったはずだ。九条さんのところになんて行かせない。お前を離さないと言ったのに、どうしてわからない?」
「……社長? あの、それって」
強烈な熱量を帯びた彼の視線に晒され、言葉がなにも返せなくなる。
「九条さんのことが好きか?」
「いえ、私は……」
「違うなら、俺が恋人になる。九条さんの話なんて受けるな。お前はずっと俺の隣にいろ」
「恋人って……えっ!?」
予期せぬ展開に声が上ずってしまい、彼は呆れ顔に少しの照れを混ぜたまま、グラスを傾けた。