毒舌社長は甘い秘密を隠す

 真剣で、冗談なんかじゃないと分かる彼の瞳に見入る。

 彼は縁談があるのだから、私を選ぶはずがない。
 だけど、目の前の彼は、私の返事を待っている。


 秘書として引き留めてくれたのだとばかり思っていたのに。
 この生活が続いているのは、彼も私を好きでいてくれたからなの?


「なにか言えよ」
「えっと、あの……」

 嬉しいのに、戸惑いが消せない。
 どうして彼は私を選ぶの?

 今日だって、月末の非公開スケジュールは変わりなかった。


「縁談はどうされるんですか?」
「あれは気にしなくていいと言ったはずだ」
「そう言われましても……」

 縁談を断ってまで私を選ぶなんて、現実的じゃなさすぎて答えに悩んでしまう。

 ずっと彼の特別になれたらと願っていたのに、いざとなると自分の気持ちよりも彼の今後が気になってしまった。

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