毒舌社長は甘い秘密を隠す
だから、目をつぶって深い夜に身を任せようと思っていたのに、不意に視線を感じて目を開けた。
「っ!!」
間近にあったのは、彼の顔だった。
今にも唇が重なってしまいそうな距離の取り方に動揺が隠せなくて、つい彼の胸を押してしまった。
「わかったよ。君が俺に夢中になってくれるまで、無理に迫ったりしない」
彼は私から離れ、背を向けてしまった。
気を悪くさせたかなぁ。
彼の想いを聞かされた後では、今までのキスとは違うから緊張でドキドキしてたまらなくて、拒否をしたつもりはなかったのに。
私だって、社長のことが大好きなのに。
大きな背中を見つめていたら、自然と抱きついていた。