毒舌社長は甘い秘密を隠す
「今夜も、帰ったら料理するつもりだったんです」
彼のために料理をするのは一日の楽しみでもあるし、彼の好きなメニューが増えていくのは嬉しいこと。
なにを作っても彼は「美味しい」と言って完食してくれるのも、作り甲斐があって幸せな時間だ。
今日だって、冷蔵庫になにが残っていたか食材を思い出し、帰りにスーパーで買うものをリストアップしてある。
「デートがしたいって言ってるんだ。社内恋愛の定番だろ? 仕事終わりに食事に行くくらい」
デスクの傍らに置いてある資料に目を通しながら、彼はしれっと言った。
先月の週末、彼の誘いで出かけたこともあるのに、なんだかドキドキする。
私は答えに迷ってしまい、パソコンの画面に視線を戻した。
「わっ!!」
受信メールを確認していたら、不意を突いて彼が資料片手に背中からハグをしてきた。
「毎日頑張ってるから、褒美にたっぷりかわいがってやる」
「かわいがってやるって、どういう意味ですか!?」
振り向いたら、彼の顔が間近にある。
視線が交わって刹那で取り込まれてしまったような気分になり、見つめあったまま動けなくなった。
「そのままの意味だよ。褒美、欲しいだろ?」
彼はにっこりと笑みを浮かべ、先に秘書室を出て行ってしまった。