毒舌社長は甘い秘密を隠す
この時間にしては、比較的道が空いていて十五分ほどで品川駅周辺にやってきた。
「そこの道を右に入って、ホテルの車寄せで降ろしてください」
「かしこまりました」
……ほ、ホテル!?
行先を聞いて驚いた私は、勢いよく右隣に座る彼を見た。
「なに?」
「ホテルに行くんですか?」
「そうだけど」
唖然としている間に、タクシーは車寄せに到着してしまった。
降りないわけにもいかず、彼についていく。
食事に行くはずだったのに、どうしてホテルへ? しかも、一流ホテルに入るような服装じゃないのに。
正面口からロビーに入ると、真っ白な大理石の床が広がっていた。
吹き抜けになった高い天井からは豪勢なシャンデリアがさがっていて、眩しくないように調光された明かりが温かな印象を感じさせた。
「腹が減ってるんだから、早くしてくれ」
「は、はい」
ロビーで立ち尽くしている私の手を引き、彼は先を歩いた。