毒舌社長は甘い秘密を隠す

 ホテル内の店ということもあるのか、ノンアルコールドリンクの価格も桁がひとつ違う。
 料理のメニューを見てみると、とても美味しそうではあるけれど、日頃の労いを兼ねているとしても気が引けた。
 自腹を切るなら、たまには豪華にしてもいいかと理由が必要なほど。


「すみません、初めて来たお店なのでなかなか決めきれなくて」
「俺が決めていいなら、そうするけど」
「その方が助かります」

 彼はメニューを見ることなく、ドアの向こうにいた店員を呼んだ。


「いつものをまとめて持ってきていただけますか? それから、この前のワインをお願いします」

 〝いつもの〟で通じるほどの常連なのかと改めて驚き、そんなお店に連れてきてくれたと思うと、彼女にでもなった気分。
 だけど、〝この前〟いつ誰と来たのかが気になってしまい、店員が個室を出てから彼に向き直る。

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