毒舌社長は甘い秘密を隠す

「高層階へは特別なセキュリティがございますので」
「あ、そうなんですね……。では、お願いいたします」

 一歩先を歩くコンシェルジュの女性について行く。
 艶々の白御影石と、天井で輝いているモダンなデザインの照明がとてもお洒落だ。


 乗ったエレベーターは二十五階までしかなく、降りた先にはロビーのような空間とコンシェルジュが常駐しているカウンターがある。


「井浦様のお部屋までお願いいたします」
「かしこまりました」

 連れてきてくれた女性は、ここから先は別の担当者が案内すると言って、戻っていってしまった。


「ご案内いたします」
「お願いします」

 次に乗り込んだエレベーターには、二十六から四十六までの数字が並んでいた。
 カードキーを操作盤にかざした女性担当者は目的階のボタンを押し、背筋をぴんと伸ばしてなにも言わずに私に背を向けている。

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