毒舌社長は甘い秘密を隠す
ぼやける視界で、もう一度大好きな彼を見上げる。
同じように私を見つめていた彼が、笑っていたのか怪訝にしていたのか、それとも困っていたのか……ワインに飲まれた私には、判別できなかった。
――緊張のあまり、飲みすぎてしまった記憶はある。
気怠い身体を起こしつつ、窓の外の景色を見て、ここが社長の自宅ではなくホテルの一室だと気づいた。
「起きたか?」
「……昨日はすみませんでした」
上半身裸で、首にタオルをかけている彼は、毎朝見るのと変わらぬ爽やかさだ。
シャワーを浴びてきたようで、髪がまだ濡れている。
救いなのは今日が土曜で、焦って身支度しなくてもいいことくらいだろう。
「別に謝るようなことはなかったよ」
「いえ、そんなはずはありません。こうして部屋を取っていただいたり、介抱してくださったりご面倒をおかけしましたので」
「部屋は取っておいたんだよ。まぁ、介抱が必要なほど酔いつぶれるとは予想外だったけどな」
まさか、最初から食事の後はこの部屋にくるつもりだったなんて。
彼が描いていたデートプランを聞かされて、寝起きだというのにドキドキしてきた。