毒舌社長は甘い秘密を隠す
「もっと一緒にいたい、響さん、離さないで……って言われて嬉しかったんだけどなぁ。あれは酔った勢いか」
「っ!! あ、あれは……」
こぼしてしまった想いを、改めて彼に言われると恥ずかしい。しかも、〝響さん〟だなんて!
真っ白な薄掛けを目元まで引き上げて顔を隠そうとしたら、すかさず彼に止められてしまった。
「本当にそう思ってくれてるなら、よそ見はするな。お前は俺だけ見てればいいんだよ」
少し束になった前髪の隙間から、射抜くようなまなざしを向けられて息をのむ。
告白の返事を保留したままなのに、彼に見透かされたようでなにも言えなくなってしまった。
「ひとまずシャワーを浴びてきなさい。さすがにパンダ顔のお前は連れて歩けない」
「す、すみません! すぐに入ってきます!」
言われてみれば、メイクしたまま眠ったせいで肌もごわごわしている。
初めてのお泊まりの朝なのに、崩れたメイクを見られるなんて!
こんな私を、彼は伴侶に選ばないだろうな。
きっと、今だけの恋を楽しんでいるだけ。
振られるのも、いつか離れてしまうのも怖いと思っていたのに、告白めいたことを言った昨晩を酷く後悔する。
いずれ見ることになるだろう彼の幸せな姿を、心から祝える自信はない。