毒舌社長は甘い秘密を隠す
「でも、一回ごとにキスと引き換えだからな?」
「えっ!?」
せめて会社では社長としての距離を保ってくれるとばかり思っていたから、突然のことに身体が硬直してしまった。
背の低い私に合わせ、少しずつ腰を折って近付いてくる彼の顔を見ていられず、思い切り俯く。
「優羽」
大きな手のひらで頬を包み込まれ、逆らえない優しい導きに顔を上げた。
「社長、仕事中ですので」
そう言っても、彼はだから?と言わんばかりの表情で迫ってくる。
「じゃあ、見合いしていいのか?」
「っ、それは……んっ」
今朝のキスよりも長く重なった唇は、やがてしっとりと離れて熱を残した。
「昨日も、お前の寝顔はすごくかわいかったよ」
「えっ!?」
こんな時に限ってやんわりと微笑まれ、ドキドキさせられてしまった。
「さて、仕事するか」
「は、はい! 失礼いたします!」
一礼して社長室を出て、ドアに背を預ける。
叶えてくれると言ってくれたけれど、きっと冗談だろう。
だけど、余韻に浸ってしまうほど迫られたら、本当に願ってしまいそうだ。
どうか、彼が私を永遠に好きでいてくれるようにと。