毒舌社長は甘い秘密を隠す
「井浦社長、ご多忙中にお越しくださってありがとうございます」
「本日はおめでとうございます。弊社に管理を一任してくださってありがたい限りです」
芳名帳に記帳していると、社長の話し声が聞こえてきた。名刺と一緒にお祝い金も受付の担当者に渡し、彼の元に戻った。
「井浦社長には本当にお力を貸していただいているので、今後もよろしくお願いしたく思っています」
「こちらこそ、八神グループさんは大切なお客様ですから、できる限りのことはさせていただきます。御社とは切っても切れない、代々続く仲ですので」
八神さんと親しげに話す社長の横で、千堂副社長もにこやかに微笑んでいる。
千堂尚斗(せんどうなおと)副社長は、社長と人気を二分する社内きっての男前。
爽やかで人懐こそうな笑顔を惜しげも無く振りまく、優しい方だ。完璧な仕事ぶりとその手腕を社長に買われて、三十一歳にして現職に就いている。
「そうだ。是非こちらをご覧になってください」
早速、八神さんが配ってくれたパンフレットに目を通していると、隣にいる千堂副社長に連絡が入ったらしく、彼が輪から離れていった。