毒舌社長は甘い秘密を隠す

 時間になり、パーティー会場へ移動した。
 都合で竣工式に来れなかった招待客も含まれているからか、さらに多くの人たちが受付前に並び、知った顔があると談笑している。

 私はというと、今日まで九条さんに煽られているとは知らない不機嫌な社長の一歩後ろに立ち、挨拶を順に済ませているところだ。


「沢村さん、ちょっと」
「どうされましたか?」

 千堂副社長に手招きされ、社長に断りを入れて離れる。


「社に戻らなくちゃいけなくなったから、ここで失礼しますね。社長によろしく伝えておいてください」
「車の手配をいたしますので、ロビーまでご一緒します」
「いいよ、自分でやるから。君は社長といて」
「ありがとうございます。お気をつけてお戻りください」

 軽く手を挙げて会場を出て行く副社長を見送る。
 ほどなくしてパーティーが始まり、挨拶と乾杯の後は歓談の時間になった。ここぞとばかり各企業の役員とつながりを持とうとする人もいて、賑やかさが戻った。

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