毒舌社長は甘い秘密を隠す
「社長は、ご結婚されるまでの間だけ、私を求めていらっしゃるんですよね?」
「……そんなわけないだろ?」
耳元で話す彼の声色が、少しかすれて弱々しく感じる。
「社長は縁談があるんですよ?」
「とっくに断ってあるよ。お前が破談にしてくれって我儘を言う前にな」
「冗談ですよね!?」
「本当だって」
彼の顔が見たくて身体を離そうとするも、力強い彼の腕には敵わず包まれたまま。
「それなりに格好がつく理由をつけたつもりだったけど、最近ようやく親父も先方も了承してくれた」
「……どんな理由ですか。お相手は、海外の令嬢なんですよね? そう簡単に受け入れてくれるはずが」
「結婚を考えている女性がいるって言った。お前と一緒に暮らしてるって話したんだ」
「ええっ!?」
まさか、彼の父親に知られることになるなんて。
これからもこの会社で働いていきたいのに、どんな顔をして過ごせばいいの?
……でも、よかった。
これからも彼を好きでいられると思ったら、気が抜けて膝から崩れそうになった。
「それならそうと、早く教えてください」
「決まってからじゃないと、報告したって意味がないと思ったまでだ」
床にぺたんと座る私の前に、彼も片膝を立てて座った。