毒舌社長は甘い秘密を隠す

 ――十一月になり、晩秋の空は、冬を前に晴れやかだ。
 恋人になって約一カ月が経ち、この週末で晴海の彼の自宅に引越してきた。


「あっ、それは私が運びますから!」
「いいよ、運んでやるって」

 彼も率先して手伝ってくれていて助かるのだけど、今まさに彼が持っている段ボールは、チェストを買い替えようと思って出しておいたランジェリー類が入っている。


「それにしても軽いな。なにが入ってんの?」
「あ、開けちゃダメ!」

 私の遠慮を無視して、彼はガムテープを剥がそうとしている。
 慌てて段ボールを奪い返そうとしているのに、背の高い彼はひょいっと箱を持ち上げてしまった。


「なにが入ってるの?」
「……ランジェリーです」

 観念した私の答えを聞くなり、彼はいたずらな笑みを浮かべている。


「今夜から俺が選んでやろうか?」
「結構です!」

 箱を奪い返し、彼をリビングに追いやった。

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