毒舌社長は甘い秘密を隠す
「社長、いつもお食事はどうされているんですか?」
「外食で済ませている。遅くなっても、マンションの隣にコンビニがあるしな」
栄養ドリンクと缶ビール、醤油などの調味料しかない庫内に愕然とした。
「近くにスーパーはありますか? 食材を買ってきます」
「それならコンシェルジュに頼むといい。そこの電話で必要なものを言えば、買って持ってきてくれる」
「えっ!?」
そんなサービスまであるのかと驚いていると、社長はリビングの壁面ラックにある電話の子機を指差した。
言われた通りにコンシェルジュカウンターへ内線をかける。
先ほど対応してくれた女性が応答してくれて、卵やうどん、野菜と鶏ひき肉などを頼んだ。
「出来上がったらお呼びしますから、社長はベッドで横になっていてください」
「いや、ソファでいい」
「昨夜、アルパくんと添い寝したせいで体調を崩された自覚はおありですか?」
「……コンシェルジュが来たら、荷物を受け取るだけでいい。支払いは後請求だから」
「かしこまりました」
リビングを出て行った社長は、会社で見る威厳のある姿とはかけ離れていた。