毒舌社長は甘い秘密を隠す
――翌日、彼と仲直りできないまま会社に来た。
喧嘩とは言えない昨夜の出来事は、もちろん誰にも相談できるはずもない。
むしろ、相談するにも恥ずかしすぎて、ただの惚気でしかないだろう。
大切にしたいという彼の気持ちがあって嬉しかったけれど、言うつもりのなかった心の内を明かさなくてはいけなかった彼は不服そうだ。
順番にムッとしては、歩み寄って仲直りする私たちは、大きな喧嘩はせずに済みそうな気がする。
「社長、おはようございます」
「おはよう」
社長室で今日の予定を確認していると、千堂副社長がやってきた。
まだ限られた人間しか知らないけれど、春に社長が親会社に異動するにあたり、後任の新社長には副社長が就く予定で、このところ打ち合わせや引継ぎの段取りをする時間が設けられるようになった。
「そのペン、かわいいですね」
「だろ? ちょっとアルパに似てるんだよ」
「ご自分でお買い求めになられたんですか?」
「いや……プレゼントでもらった」
誰からもらったのか聞かれたらどうするのかとハラハラしていると、千堂副社長が小さく笑いだした。