毒舌社長は甘い秘密を隠す
「それに、最近社長が随分丸くなられたので、なにか理由があるんだろうなと思っていたんです。と言っても、結構前から社長が沢村さんのことばかり気にかけていると気づいていましたけどね」
「わかった、もういい。千堂、仕事をしよう」
認めたともとれる返事に、副社長は私に向かってにこっと笑いかけてきた。
「井浦社長の弱み、ご存じですか? 来期になったら教えてくださいね」
「千堂、仕事!」
いたずらっ子のような屈託のない笑顔に、私は小さく頭を下げるしかなかった。
一日はあっという間で、日が落ちるともっと早く感じられる。
喉が渇いて、自販機で飲み物を買おうと席を立った。
時刻は十九時過ぎ。社内にはまだ残っている社員もいる。
フロアの端にある自販機で、細長い紙パックの野菜ジュースを買ったついでに、アルパカの様子を見てから戻ろう。