毒舌社長は甘い秘密を隠す

《優羽、ごめんな。今、どこにいる?》
「駅の前です」
《近くに背の高いホテルが見えるだろ? そこに入ってて。着いたら、フロントで俺の名前を出して。そしたら案内してくれる》
「わかりました」

 都内屈指の夜景が見えるホテルとして人気があるそこは、初めてデートをした日に行列が苦手な彼が連れてきてくれた場所だ。
 今夜もそのカフェは賑わっているようで、この時間はディナーを気軽に楽しむお客でにぎやかだ。


【あと五分くらいで着くと思う】

 ホテルに着くと、ちょうどメッセージが追加で送られてきた。
 汐留からはそんなに遠くないけれど、きっと道が混んでいるのだろう。金曜の夜でバレンタインともなれば仕方ないことだから、大して気にならなかった。


 言われた通りに、フロントで「井浦で予約があると思うのですが」と伝えると、すぐに案内をしてくれた。
 高層階に向かうように伝えられたから、おそらくレストランでディナーをしようとしてくれているのだろう。

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