毒舌社長は甘い秘密を隠す
エレベーターに乗り込み、操作盤を見る。フロントで言われた階は客室の最上階で、少し不思議に思った。
もしかしたら、仕事が終わらなかったから部屋で済ませるつもりなのかもしれない。
高層階行きのエレベーターが勢いよく上昇していく。
二分とかからずに到着して、左右に延びる通路を眺めていると、彼から連絡が入った。
《ごめん、今着いた。優羽は?》
「私もフロントで案内された階まで来たところです」
《右端にある部屋のドアを開けてみて》
「えっ?」
《いいから。じゃあ、あとでね》
一方的に電話が切られてしまった。きっと彼もこれからエレベーターに乗るのだろう。
仕方なく言われた通りに通路を右に進み、一番奥にある部屋の前に立った。
ドアプレートには【Princess Suite】とあって、ここがスイートルームだと分かった。
開けてと言われたけれど、勝手がわからずにノックしてみる。
反応はなく、壁にあるドアチャイムを押してみた。
それでも応答はなく、本当に彼が取った部屋なのだろうと確信を得てドアを開けた。