毒舌社長は甘い秘密を隠す

 だけど、予感が的中したのはそれからすぐのことだった。


 週末に銀座の東央百貨店を歩いていたら、思いがけなくふたりを見かけたのだ。
 会社では見せない穏やかな表情の社長と、明らかに恋をしている様子の沢村さんは、いつ社員に見られるともわからないのに堂々としていた。

 ここ三カ月の間、沢村さんがどんどん綺麗になってきたとは思っていた。
 それに、仕事にもすっかり慣れたようで、俺の秘書のサポートまでしてくれることもある。
 秘書の仕事が楽しくなってきて、充実感にあふれている日々を送っているからだと思っていたのに……。


 俺の知らないうちに、まさか付き合ってたなんて。

 いつだ?
 どのタイミングで?

 社長を日々見ていたのに、そんな素振りなんてあったか?


 彼らが靴屋に入っていくのを、近くの物陰からそっと眺める。
 ブルーグリーンのサマーニットを来た彼と、ノースリーブの黒ニットを着た彼女はお似合いだ。

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