毒舌社長は甘い秘密を隠す

 そして、廊下の突き当たりにあるドアを開けると、二十畳ほどの広い洋室があった。
 特注サイズと思われるベッドに横たわっている社長を見つけてホッとしたけれど、部屋の様子に目を疑った。

 敷かれている絨毯も、ソファに置かれているクッションやベッドカバーに至るまで、どれもが〝もふもふ〟しているのだ。


「……社長」

 そっとベッドサイドに立って、声をかける。
 そういえば、社長は部屋着姿だったけれど、それも手触りのよさそうなものだった。

 もしかしたら、社長ってこういう触感が好きなのかもしれない。


「社長、お食事ができました」
「ん……あぁ、ありがとう」

 眠っているところを起こすのは気が引けたけれど、少しでも食べて栄養を取って休んだ方がいいだろう。

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