毒舌社長は甘い秘密を隠す

「分かってるのよ、社長に興味があるってことくらい」
「ないです。尊敬はしていますけど」

 上手くはぐらかしたつもりだったけど、留美さんには見破られているみたいで。


「じゃあ、井浦社長と九条さん、八神さんの三人なら、誰がタイプ?」
「……その質問はズルいですよ」
「いいから答える」
「……社長です」

 やっぱりね、と笑った留美さんは、してやったりと言わんばかりの顔で私を見る。


「社長の好きなところを三つ話してくれたら、代わりにいいことを教えてあげるわ」
「なんですか、その交換条件」
「知りたくないの? 彼のこと」
「…………」

 知りたくないわけじゃないけど、知ったところで社長と秘書の関係に変わりはない。

 片づけを終えて自席に着いても、留美さんは隣の席で答えを待っているようだ。

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