毒舌社長は甘い秘密を隠す
撫でていたら、癖になってきた。
もふもふとした触感が心地良くて、特に人懐こいアルパくんは私に微笑んでいるような顔を見せてくれる。
「アルパくん、今週もお疲れ様ね」
「フーン」
本当にかわいいなぁ。さすがうちのマスコットになるだけのことはある。
気づけば、二十二時前になっていた。
アルパカも休む時間かと思い、「また来週ね」ともう一度撫でてから、飼育スペースを出ようとした。
「っ、社長!?」
「こんな時間にどうした?」
九条さんとの会食から戻ってきた様子の社長が、スーツ姿でガラス戸を入ってきた。
思い出されるのは、ほんの二日前の夜のことだ。
「これから帰るところで、アルパカの様子を見てからにしようと思ったんです」
「気を付けて帰れよ」
「社長はお帰りにならないんですか?」
またここでアルパくんと添い寝するつもりなら、なんとしてでも自宅に帰ってもらわなくては。