毒舌社長は甘い秘密を隠す
「社長は、ごゆっくりおやすみになってください」
「そうだな、今週末は久しぶりに仕事から離れられそうだし、リフレッシュするよ」
隣に姿勢よく立っている社長と目が合ったら、逸らせなくなった。
そのまま彼も私を見つめてくるから、どうしていいのかわからず無言を通す。
「君は、どこかに出かける予定でもあるのか?」
「いえ……自宅でゆっくりするつもりでした」
「……そうか」
週末をどう送っているのかなんて、聞かれたこともなかったし、これから先も聞かれることはないと思っていた。
〝秘書ではない時間の私〟には興味がなさそうだったのに。
初めてのことに動揺して、ドキドキしている胸の奥まで見透かされてしまいそう。
私は視線を床に落とし、早くドアが開かないかと願った。