毒舌社長は甘い秘密を隠す
「どうした? 腹が減ったのか?」
「フフーン」
眠そうに起き上がったその人は、傍らに伏せたアルパくんに抱きついた。
アルパくんと会話をするように優しく声をかける姿に、言葉を失くす。
だって、目の前にいるのは、井浦社長だったのだから。
「あ、あの、社長」
「ん? ……えっ、沢村さん!?」
「お疲れさまです」
もふもふとした服を着た社長が、ようやく私の存在に気づいて慌てている。
彼が着ているのは部屋着だったようで、前身ごろにはファスナーがある。だけど、床に敷き詰めた干し草がたっぷり付いていて、まるで超イケメンのアルパカ状態だ。
「なにをされているんですか?」
「……別に、なにもしていない」
この状況が理解できずにいる私に、彼はいつも通りの冷たい口調でそう言い放つと、ゆっくりと立ち上がった。