毒舌社長は甘い秘密を隠す
「そこにある部屋着を着て」
「えっ、あの」
「いいから、早く。俺を癒すんだろ?」
そんなことひと言も言ってないのに!
強引に背中を押され、洗面室に閉じ込められた私は、着ていたジャケットとブラウスを脱ぎ、もこもことした部屋着に袖を通した。
「あのー……着替えましたけど」
「お、なかなか似合ってるな。こっちに座って」
「はい」
先にリビングのソファに座っていた彼に声をかけると、隣に招かれた。
「ひゃっ!」
「なんだ、そんな驚くなよ。気分が萎える」
「な、萎えるって、あの」
着替えながらも、大人の男性が求める癒しを考えていたら、夜の相手という選択肢が思い浮かんで戸惑っているところだったのに。
社長が私を抱きしめてきたから、思わず身体を強張らせた。