毒舌社長は甘い秘密を隠す
「優羽」
「っ!?」
「……って、名前は触り心地が良さそうなのにな」
「す、すみません。心地良くなくて」
突然、名前で呼ばれてドキッとした。
彼の腕に包まれたら、気持ちがばれてしまわないかと焦る。
「……嘘だよ。最高に気持ちいい。ふわふわしてて」
「それは、この部屋着のせいではないかと」
「それでいいんだよ。今夜は俺の癒しなんだから、黙って抱きしめられろ」
随分と勝手な状況に巻き込まれているのに、胸の奥はさらに窮屈なほどにドキドキが止まってくれそうにない。
「あー……」
余程、この触感が好きなのだろう。
耳元で寛ぐような声を漏らした彼は、私がどれだけ頬を赤くしても気づいていないようだ。